2023年9月の議会報告 一般質問「障がいのある方の経済活動について」【誰も排除されないフルインクルーシブ社会の実現へ】

テーマは「誰も排除されないフルインクルーシブ社会の実現へ」
一つ目の質問は、とある視覚障害の方からのご相談から質問させていただきました。
視覚障害の方は目が見えないために、ガイドヘルパーを必要とされますが、そのヘルパーさんはどこにでも連れていってくれるわけではなく、行動にもルールがいろいろとあるのです。
認められない外出として、
1、営業活動等の経済活動に係る外出
2、通年かつ長期にわたる外出
3、社会通念上適当でない外出
通勤は1にあたり、通学は2、ギャンブルや風俗等の社会モラルに反することに同行援護は3にあたるため利用できません。
今回は、1の、経済活動にガイドヘルパーを利用してはいけないという問題について。
この視覚障害の方は、自分でお店を出すことができました。しかし、いざ、書類を見てほしいとか、物の色をみてほしい、ボールペンがほしいといった時に、いちいちガイドさんから「それは経済活動なのかどうか」を問われるそうです。
仕事にガイドさんを利用してはいけないことは重々承知だが、ふと色が気になっても、家で使う物を買いたいだけでも、何をするにも「経済活動かどうか」質問攻めにあわれ、大変苦しまれてご相談してくださいました。
現在は事業所との話し合いで「質問攻めにはしない」というご理解をいただいたそうですが、そもそも、なぜ障がいのある人が自ら働きにくい社会なのだ??という点がおかしいですよね。
そのため、国は2020年10月から「雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業」を開始し、これでようやく経済活動でもガイドさんに頼むことができるようになりました。
が、
が、これは、地域の自治体がこの制度を導入しなければ利用ができないという壁にぶち当たりました。
これは、障がいのある者が働きたいと求めているにもかかわらず、それを無視して言い訳をつけて、障がいのない人と同じように働けるようにしない「合理的配慮を拒否すること」は、自治体からの「差別」なんです。緊急事態なんです。
障がい者だから、何もできなくて仕方ないよね!とか、
障がい者だから、何もしなくていいよ!とか、
障がい者だから、後回しでもいいよね!とか、云々かんぬん。。。
そうやって、言わなくても、そう受け取れてしまうんです。
なぜ、勝手に決める???
なぜ障がいのある人の意見は配慮されない???
障がいのある人が障がいのない人と同じように生活、活動できることは、誰にとってマイナスですか?
こんなんじゃ、障がいを持つことが怖くなる社会じゃないですか。
老いることだって怖くなるじゃないですか。
まるで足手まといみたいな、費用がかかるみたいな扱い。
その考えは違いますよ。
そんな社会だから死にたくなるんですよ。
だから、排除をするという考え方は、最後は自分自身の首を絞めるんです。
ですから、誰もがいずれ障がいをもつかもしれない。
誰もが新しいジャンルの障がい者として括られるかもしれない。
いつどんな状況になるか分からないのだから、皆同じなんです。
差別されることが嫌だからとマウントの上位を目指すことではなく、上位の者にヘーコラするのでもなく、もう、「今の経済を回すことに不利だと思われるものは、排除される」という状況を変えなければ、皆の安心には繋がりません。
三鷹市は今すぐ経済活動が可能になる制度を取り入れるべきです。
2023年9月4日 石井れいこ一般質問【動画】
テーマ:誰も排除されないフルインクルーシブ社会の実現へ
1.障害者の経済活動について
2.フルインクルーシブ教育の導入について
3.多世代交流について
以下2023/9/4:令和5年 第3回定例会(第2号) の私の一般質問の全文です。
2023-09-04:令和5年 第3回定例会(第2号) 本文
市政に関する一般質問
○石井れいこ
誰も排除されないフルインクルーシブ社会の実現へ。
2023年6月13日第2回定例会、私の一般質問の際に、市長より、何をすれば希望の持てる社会になるのか、ぜひ一緒に考えていただきたいと思いますのでよろしくお願いしますという答弁がありました。では、なぜ現在は希望の持てない社会なのでしょうか。それは、この社会の流れについてこられない者は置いていき、邪魔だと判断された者は排除し、稼がない者は意味がないという、人間を生産性で測り、差別を見て見ぬふりするようなむなしい社会であるからではないでしょうか。一人一人が持っている夢や可能性を生かし、生きているだけで価値があると実感できる社会をつくるために、誰もが分け隔てられることなく、共に生きられる社会を実現することこそが、希望の持てる社会なのだと考えます。
想像してみてください。突然の事故や病気になってしまい、昨日と同じような生活ができなくなった自分を。もしくは大事な息子、娘が障がいを持ってしまったとしたら、そこに安心して暮らせる社会があるのでしょうか。差別される恐怖はありませんでしょうか。自分が急に孤独になって、社会から見放された気分にはならないでしょうか。いろんな人にお願いをしたり、すみませんと謝ることが増えるのでしょうか。仕事は今と同じように続けられるのか、転職はできるのか、給料は減ってしまうのか。そもそも1人で通勤できるのか。トイレに行きたいことを言えず、我慢の末に失禁してしまう方もいると聞きます。何も心配はないでしょうか。子どもの通う学校は変わらずそのまま行けるのか、転校により子どもから友達を奪ってしまわないのか。障がいのあることがまるで悪いことかのような気持ちになり、障がいを持ったために、今まで付き合ってきた人や仕事、学校、飼っているペット、さらに奪われるものが多々あっても、そんな社会をよしと言えますでしょうか。
愛媛県の心のバリアフリー愛顔の接遇マニュアルにはこう書かれています。障がいがあると、多くの人が当然にできていることができないことや勘違いされること、理解されず困ったり、つらい思いをしたりすることがあります。これは、私たちの暮らす社会が、障がいのある方や高齢者、外国の方など様々な人がいることを考慮せず、多数を占める人たちの事情に合わせてつくられた社会になっているからです。そのため、障がいのある方にとっては、困り事や不利益をもたらす社会的バリアが生まれ、生活しにくく、生きづらい社会環境となっています。要するに、障がいがある人が悪いのではなくて、社会のほうが対応できてないためにバリアが生じてしまっているということかと思います。事故も病気もいつ起こるか、誰も予想することはできません。さらに障がいを持つ可能性は誰もがあることで、社会はいつでもその状態に合わせられるよう、準備をしていくべきものだと思います。そして、健常者と障がい者は同じ人間であるという認識の下、障がい者が差別の対象となり、被害をこれ以上受けないためにも、バリアを取り除かなければならないと思います。
(1)、障がい者の経済活動について。
質問1、国連の障害者権利条約の第27条、労働及び雇用には、締約国は、障がい者が他の者との平等を基礎として労働についての権利を有することを認めるとあり、労働についての障がい者の権利が実現されることを保障、促進するための措置として、自営活動の機会、起業家精神、協同組合の発展及び自己の事業の開始を促進することと記載されていますが、これに対して三鷹市の現状はいかがでしょうか。
質問2、現行の同行援護は経済活動には利用できないことになっており、自営業者については経済活動に当たるか否かの線引きが難しいかと思われますが、これはどのような基準で、どのように判断されているのでしょうか。
質問3、国では2020年10月に、雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業という、経済活動でもガイドヘルパーを利用できる制度を開始しましたが、三鷹市では現在導入されていません。三鷹市でも導入する予定はありますでしょうか。
質問4、この事業に対する要望を把握されているでしょうか。
質問5、この制度が導入された場合に、対象となる市民は何人でしょうか。
質問6、この制度を導入済みの他市の事例では、現行の同行援護の利用時間との関係はどうなっているのでしょうか。
(2)、フルインクルーシブ教育の導入について。
ア、インクルーシブ教育の概念について。
ユネスコのレポートでは、全人類が共通して持っているものは何か。それは「違い」ですと言っています。いろんな人たちが混じり合っているのがこの社会です。同じ男性でも違いがあり、同じ女性でも違いがあり、障がいのある人にも違いがある。なので、みんな違いのある人たちであるということです。国連の障害者権利条約の一般的意見4号では、インクルーシブ教育はごちゃ混ぜの教育であると。エクスクルージョン(排除)、セグレゲーション(隔離、分離)、一緒のことができれば来ていいですよというインテグレーション(統合)という分け方があるが、そうではないと言っています。全てごちゃ混ぜで、障がいのある子もない子もみんながいられるよう変えていきましょうというのがインクルージョン(包摂、包容)だとしています。
しかし、単に普通学級に障がいのある児童・生徒を配置するのがインクルージョンではないと言っています。狭い意味での教育目的や教育到達度のためにインクルーシブ教育をするのではなく、今ある現状が全てでもなく、みんながいられるために、みんなが学べるために環境を変えていきましょう、周りを変えましょうと、教育上の様々な改革を行っていくプロセスがインクルーシブ教育なんだそうです。
そして、差別されない権利として分離されない権利、必要な支援を受けられる合理的配慮を受ける権利を持っています。みんなが楽しめる、みんなが学べるよう配慮すること。成績のつけ方、評価のされ方も、それぞれに合わせましょうと言っています。
質問7、このような国際的な認識に対し、三鷹市の現状と課題について伺います。
質問8、同様のことを教育長に伺います。
イ、三鷹市の現状について。
質問9、障がいのあるお子さんが小学校に上がる際、普通学級、支援学級、特別支援学校など、どのような流れから通う学校が決まるのでしょうか。
質問10、視覚障がいの子が普通学級に通われた事例はありますか。
質問11、視覚障がいの子が普通学級に通う場合はどのような支援をしていますか。
質問12、現在小・中学校それぞれ何校ずつにエレベーターが設置されていますか。
質問13、車椅子の子が自分の家の近くにあるエレベーターが設置されていない小学校に通うことを希望した場合、毎日通う教室は1階のままでの対応にできますでしょうか。
(3)、多世代交流について。
2023年6月13日第2回定例会で、地域で自己肯定感を上げる取組について一般質問をさせていただく中で、高齢者と子どもの触れ合いについて触れさせていただきました。近年、子どもや若い世代を取り巻く様々な課題に、コミュニケーション力の不足が挙げられます。幼児期に高齢者との関わりを持つことで、発語を促すそうです。さらに、かわいいねと言われることで自己肯定感が上がり、生きていていいんだと思える環境がつくれると考えます。高齢者も、子どもと触れ合うことで前頭葉が活性化されるそうです。障がいのある方やその御家族においても、多世代と交流を取ることにより、孤独を防ぎ、地域での理解を深めることができます。同世代の人だけの交流ではなく、様々な世代と交流をしていくことで、孤独な生活がなくなり、教育面でも役立つと期待されています。核家族化によって、妊婦さんや新米ママさんの孤独、マタニティーブルー、産後鬱、虐待、老老介護なども社会的問題になっています。そのような中で、行政としては、窓口を設けていますから相談なさってくださればという受け身の体制では済まないと感じております。
質問14、東西の多世代交流センターの利用数の推移はどうなっていますか。
質問15、多世代交流センターにおける利用者の年代の傾向はどうなっていますか。
質問16、多世代交流センターにおける主な多世代交流の取組はどのようなものがありますでしょうか。
質問17、多世代交流センターにおける障がい者との交流はどのようなものがありますでしょうか。
質問18、市では、多世代交流センター以外に、ほかにはどのような多世代交流の場を設けていますでしょうか。
質問19、コミュニティ・スクールや地域学校活動協働本部、PTA、地域交流のイベント、様々なものを実践する取組の先にスクール・コミュニティが実現していくと認識していますが、スクール・コミュニティを推進していく上で、学校を利用した高齢者とその介護者、未就学児の御家族、障がいのある方、その家族などが集える多世代交流の場を設けることなどは検討していますか、市長に伺います。
質問20、同様のことを教育長に伺います。
質問21、学校を利用して定期的に多世代食堂を実施し、そこで市の相談窓口を設けることにより、地域コミュニティの創生や適切な支援につなげることができると思いますが、いかがでしょうか。
以上となります。よろしくお願いします。
◯市長(河村 孝さん) それでは、私のほうから、まず幾つか御答弁させていただきます。
まず、質問の1、三鷹市における障がい者の労働及び雇用の現状についてでございます。三鷹市においても、障がい者の方が労働及び雇用の権利を有し、その権利が保障、促進されるため、障がい者の方の就労支援の取組は重要であると考えております。三鷹市では、就労支援センターかけはしが中心となりまして、障がい者の就労支援に関する取組を進めているところでございます。また、自営、起業等により活動している障がい者の方がいらっしゃることは認識しております。障がい者の種別や状況によりまして、適切な支援ができるよう努めているところでございます。
続きまして、質問の7、インクルーシブ教育についての国際的な認識に対する三鷹市の現状と課題についてという御質問がございました。我が国では、平成26年(2014年)に障害者権利条約を批准していますので、三鷹市においてもその理念に基づき、様々な施策を進めているところでございます。三鷹市の基本目標である、「人間のあすへのまち」の実現に向けた、高環境・高福祉のまちづくりの高福祉の中で、高齢者、障がい者を含めた全ての市民が共に支え合い、住み慣れた地域において社会の一員として生き生きと活動できるまちづくりを目指し取り組んでいるところでございます。このような地域共生社会の実現には、障がいに対する理解を進めることが重要だと考えており、引き続き、障害者差別解消法に関わる取組や、心のバリアフリー啓発活動の中で周知に努めていきたいと考えております。今後も、障がい者等の人権が尊重され、個性を生かしつつ、社会の一員として障がいの有無に関わらず誰もが共生できるまちづくりの推進に取り組んでまいります。
もちろん三鷹市としても、ここ何十年もこの問題はテーマとして、実現、解消に向けて頑張っているところでございます。特にこれは1つの例でありますけれども、保育園の医療的ケア児の問題など、一つ一つ階段を上るように、現実の課題の解消に向けて頑張っているところでございます。このとき、公立保育園、私立保育園でも同様でありますけれども、並行保育という考え方で、障がいをお持ちの子どもたちが単純に集まって保育をするというんじゃなくて、保育園の中で一緒になって、そういう医療的なケアが必要な子どもたちにとってもいい環境ができないかということで、様々な試行がされてきております。私は、並行保育というふうに言っておりましたけれども、そういう努力は専門に対応する保育園だけではなくて、一緒に子どもたちが仲よく過ごせる、そういう環境づくりも一方で必要だというふうに思っています。
理想としてどういうものを目指すかというところではそんなに異論はないと思いますけれども、実現するためにはそういう段階的なステップを踏んだり、モデルをつくっていって解消していく、これが社会全般に全部必要なんだろうというふうに思っています。御指摘の点などを踏まえて、さらに前進していきたいというふうに思っています。
私からは以上でございます。ありがとうございました。
◯教育長(貝ノ瀬滋さん) 私からはインクルーシブ教育の概念についてのことと、現状と課題についてということでお答えいたします。
三鷹市では、国や東京都が示しております共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システムの構築のための特別支援教育の推進、それから児童・生徒一人一人の適切な就学のためにを踏まえまして、多様な発達のお子さんが個別最適な学びができる場を整備して、そのお子さんが将来社会参加できる力を身につけられるよう、教育相談や就学相談を行いまして、お子さんや保護者が学びの場を選べるようにしております。インクルーシブ教育の理念に基づきまして、お子さんが安全安心に学校生活を送る上で必要な支援、例えば医療的ケアが必要な場合は看護師さんを配置して対応できるようにして、そのお子さんの個別最適な学びが実現できるように努めているところです。
御質問の中にもございましたけれども、インクルーシブについては、狭い意味で教育目的や教育の到達度のためにというふうに考えちゃいけないんだというふうな御指摘ですけれども、私もそのとおりだと思います。やはりその人らしく生きられる社会、その人らしく生きられる学級、学校がやはり大事だと思いますね。やっぱりそれをどのように実現していくかというのは並大抵のことではありませんけれども、やはりそのことについて諦めずに、実現するように努力していきたいというふうに思います。
三鷹の場合は、ずっと以前から、例えばですけど、意識改革という一助になればということで、例えば「障害」の「害」の漢字をやめて平仮名の「がい」にするとか、特別支援学級、特別支援学校とかいう言い方を、「特別」を取って、特別なことじゃないんだということで、教育支援学校とか教育支援学級という──三鷹だけでもないとは思いますけれども、東京都や国はそれを使っておりますけれども、三鷹はそのように意識をやっぱりその辺からも変えていこうということで、以前からそんなふうにしているというようなこともございます。
どちらにしても、やはり障害者差別解消法もできたことですので、しっかりと取り組んでいかなければならないと。そのためにも、コミュニティ・スクールを基盤とした小・中一貫教育をさらに推進していくということも必要だろうと思っています。その上で、多様な発達の子どもの学びとインクルージョンの実現に向けて、その課題を挙げますと、教育課程の編成と、それを実施するための専門性の高い教員の確保、障がい等に応じた環境整備等であると認識しております。
それから、学校を利用した多世代交流の場の検討についてということでお答えいたします。スクール・コミュニティの発展に向けて、これまで学校教育のためだけの場と捉えられておりました学校施設を、放課後の子どもたちの居場所や地域の皆さんの多様な活動にも活用する学校3部制の実現に向けた取組を進めています。新しい放課後というふうに言っていますけど、その趣旨からすれば、多世代交流の場としても活用可能にしていくことが期待されていると考えます。そういう意味では、御質問にも最初のほうにありましたインクルーシブ、包摂ということと、ダイバーシティー、多様性ということはやはり親和性があって、一体のものだと思いますね。ですから、そういう意味では、差別するとか違いを強調するとかということじゃなくて、どんな人もお互いに助け合って一緒に、共に生きていくという、そういう社会を実現していく場としても、多世代交流センターというのもあっていいと思いますし、学校の放課後もそのような場にしていきたいなというふうに思っています。引き続きコミュニティ創生などの取組と整合性を図りながら、学校3部制の具体化に向けた検討、取組をさらに進めていきたいと思っています。
以上でございます。
◯健康福祉部長・新型コロナウイルスワクチン接種実施本部事務局長(小嶋義晃さん) 私からは市長の答弁に補足いたしまして、障がい者の経済活動につきまして5点お答えいたします。
まず、質問の2点目、同行援護の基準と判断についてでございます。同行援護は、障害者総合支援法に位置づけられている障がい福祉サービスです。対象となるのは、視覚障がいにより移動に著しい困難を有する視覚障がい者、同程度の障がいを有する児童でございます。サービスの内容といたしまして、外出時にヘルパーが同行し、移動時及び外出先において、代筆や代読を含む情報の支援や、移動の援護その他必要な援助を行うものでございます。利用に際しましては、国の基準では、通勤や営業活動等の経済活動に係る外出や、通年かつ長期の外出、反社会的な活動などには利用できないということになっておりますけれども、それ以外の日常的な外出については、社会参加や余暇活動について利用が認められているところでございます。
自営業者の場合、経済活動と日常的な活動との線引きは難しいところではございますけれども、国の基準に基づき、営業活動やその活動により対価を得る活動につきましては経済活動とみなし、同行援護の対象とはならないと認識しております。支援の依頼を受けたヘルパー派遣事業者が判断に迷った場合の相談に対しましても、国の基準に基づき判断をするよう助言をしているところでございます。
続きまして、質問の3点目、雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業の導入予定について、質問の4点目、同事業に対する要望の把握について、質問の5点目、同事業の対象者数について、質問の6点目、導入自治体における現行の同行援護の利用時間との関係について一括してお答えいたします。
重度障害者等就労支援特別事業を導入する場合、同行援護サービスを提供する事業者に対応していただくことになります。このサービスを提供する事業者は市内に6事業者ございますけれども、同時に重度訪問介護、居宅介護といった複数のサービスを実施しており、新たに本事業を実施するには人材の確保が課題と考えているところでございます。本事業の導入につきましては、対象となる方の把握に努め、近隣自治体の動向や人材確保の状況も見ながら、引き続き検討してまいりたいと考えてございます。なお、本事業の実施についての要望は、現時点で2件把握しているところでございます。
現在、本事業の対象となる方は、重度訪問介護、同行援護、行動援護サービスを受給される方となっています。三鷹市では、令和5年3月31日時点で、合計106人の方が対象となるサービスを受給されています。対象となる方々の中には、既に就労されている方もいらっしゃいますが、就労形態や雇用形態について個別に異なるため、全体を把握することはできておりません。個々の障がいの状況に応じた就労形態、雇用形態及び職業選択をされていると認識しているところでございます。
他市の事例では、2つのサービスを利用している事例はほとんどありませんが、利用時間につきましては経済活動の内容や活動の範囲によって異なってくるというふうに想定しているところでございます。
私からは以上でございます。
◯教育部調整担当部長(松永 透さん) 私からは教育長の答弁に補足いたしまして、質問の9番目から13番目について答弁をいたします。
まず初めに、質問の9点目、障がいのある児童の就学までの流れについてです。障がいのある児童が小学校に就学する際には、保護者からの申出により就学相談を実施しております。就学相談では、教員経験者である就学相談員が、児童の発達や障がいの状況、就学前施設における生活の状況、医療の必要性等を確認しつつ、御家族、本人の気持ちに寄り添いながら、適切な就学先の検討を行っております。その後、就学相談において収集した資料や保護者の御意見等を踏まえ、教育学、医学、心理学の専門家等で構成する就学支援委員会で意見聴取の上、教育委員会としての総合的な見解を保護者へお伝えし、就学先の検討をしていただいております。
続きまして、質問の10番目、11番目です。視覚障がい児の通常学級への入級の事例について、そして視覚障がい児への通常学級における支援について一括で答弁させてください。
軽度の視覚障がいがある児童・生徒の場合、眼鏡やコンタクトレンズの装用による矯正視力が低くなければ学習上大きな困難は生じませんので、通常の学級へ通う事例は多くあると認識しております。また、眼鏡等を使用しても文字が見えづらいなど、学習に支障がある場合でも、拡大鏡やタブレット端末によるデジタル教科書の活用や配付プリントの拡大印刷などに加え、座席順の変更や照明の調整など、円滑な学習活動につながるよう、学級運営の中で教員が工夫して支援を行っているところです。
続きまして、質問の12点目、小・中学校へのエレベーターの設置の状況です。小・中学校のエレベーターですが、校舎内に設置されている学校は、小学校では第一小学校、第三小学校、高山小学校、東台小学校の4校、中学校では第三中学校の1校となります。また、日常生活をする校舎内ではございませんが、第二中学校では体育館にエレベーターが設置されています。現在、市内の小・中学校では、合わせて合計6校に設置している状況でございます。
質問の13点目、車椅子の児童がエレベーターのない学校に通う場合の対応についてです。教室の配置は、学校施設の構造や学年ごとの学級数、特別教室等の諸室の配置や避難経路の状況、他学年との交流の観点など、様々な要素を考慮して校長が決定しております。このため、教育委員会として一律にルールを設けることは考えてはおりませんが、御質問のような事例がある場合におきましては、学校の実情や、車椅子を利用する児童の教育的ニーズ等を十分に把握した上で、学校、保護者、教育委員会の3者において、個別の事例ごとに丁寧に相談し対応していきたいと考えております。
私からの答弁は以上です。
◯子ども政策部長(秋山慎一さん) 私からは市長の答弁に補足をいたしまして、多世代交流センターに関する御質問、14番目から18番目の御質問5点にお答えいたします。
まず、14番目の御質問、多世代交流センターの利用者数の推移についてと、15番目の御質問、利用者の年齢の傾向について一括して答弁いたします。
令和元年度の年間利用者数は、東西多世代交流センター合わせまして約12万人でございました。令和2年度には、新型コロナウイルス感染症の影響を受けまして、利用人数は約4万2,000人と大きく落ち込み、徐々に回復はしているものの、令和4年度は約8万5,000人の利用にとどまっています。利用者の年代の傾向といたしましては、東西のセンターで若干の違いはございますが、幼児とその保護者が全体の約40%から50%、小学生が同じく約40%から50%で、そのほか中学生とシニア世代がそれぞれ約5%、高校生の利用は1%以下となってございます。
次に、16番目の御質問、多世代交流センターにおける主な多世代交流事業の取組についてでございます。多世代交流事業につきましては、現在、月に4回から5回程度、学習支援、手芸、工作、昔遊び、ラジオ体操などの様々な事業を実施しているところでございます。
続きまして、17番目の御質問、多世代交流センターにおける障がい者との交流についてでございます。多世代交流センターは、障がいのある方々にも日常的に御利用いただいております。また、多世代交流事業は、障がいがあってもなくても誰もが楽しめるイベントの企画や交流の場を提供することを目指しておりまして、令和3年度から毎月1回、障がい児の親子の休日の居場所づくりを目的といたしました事業として、日曜ファミリーひろばという事業を実施してございます。この事業は、ボールなどを使った簡単なレクリエーション活動を中心とした1時間程度のプログラムとなっておりまして、毎回5組程度の親子に御参加をいただいております。
次に、18番目の御質問です。多世代交流センター以外での多世代交流の取組についてでございます。多世代交流センター以外の場所における多世代交流の取組といたしましては、コミュニティ・センターを会場に、住民協議会と連携をいたしました移動児童館事業や、なんじゃもんじゃの森を会場に、ほのぼのネットと連携をいたしました事業などを実施しているところでございます。
私からは以上です。
◯企画部長(石坂和也さん) 私からは市長の答弁に補足いたしまして、質問の19点目、学校を利用した多世代交流の検討について、質問の21点目、学校を核としたコミュニティ創生と相談支援について、関連がございますので一括で答弁いたします。
学校を利用した多世代交流、相談支援などは、学校を核に多様な主体が参画する学校3部制の第2部と第3部における1つのテーマとなります。児童や生徒、保護者のみならず、卒業生やその保護者、これまで学校には足を運ばなかった高齢者、障がい者など、多様で多世代の人々が集い、交流の場となることで、地域力が高まることも見込まれます。また、地域課題が複雑化する中で、日常生活圏域での相談機能の充実も求められております。1つの窓口で全ての問題を解決することは困難であるため、地域の拠点に根差し、関係機関につなぐコーディネート機能を持つ伴走型の相談体制が重要となります。引き続き、学校3部制や市役所機能の分散ネットワーク化、コミュニティ創生などの取組と整合を図りながら、学校施設を活用した交流や地域のつながり、相談支援などの在り方について検討を進めていきたいと考えております。
答弁は以上でございます。
◯15番(石井れいこさん)
ありがとうございます。まず、質問2番、経済活動について国の基準に基づいてやっているということだったんですけど、お渡しできるような基準判断リストはあるんでしょうか。
◯健康福祉部長・新型コロナウイルスワクチン接種実施本部事務局長(小嶋義晃さん) 再質問いただきました。
基準につきましては、市のほうでも基準を設けて、国の基準に対応してやっていますので、お渡しは可能でございます。
◯15番(石井れいこさん)
お渡しがされてなかったようで、自分たちの感覚だけで判断しなければいけないというふうになっていたようなんですけど、全員にはお渡しされていない感じですかね。
◯健康福祉部長・新型コロナウイルスワクチン接種実施本部事務局長(小嶋義晃さん) 再質問いただきました。
今ちょっと私自身が配付状況について把握していないんですが、必要があればお渡しできるという状況でございます。
◯15番(石井れいこさん)
ありがとうございます。利用者さんが、そういう感覚だけの判断でやると、事業者さんとトラブるんですよね。なので、なるべく、そういうトラブルがあるようでしたらば、お渡しいただけたらと思いました。
あと、例えばアパート経営など、人付き合いとかも経済活動になると思うんですよ。それはガイドさんに知られなければオーケーという感じになってしまうと思うんですけど、公平性を欠くような曖昧な状態を市としてはどのように考えていますか。
◯健康福祉部長・新型コロナウイルスワクチン接種実施本部事務局長(小嶋義晃さん) 再質問いただきました。
いろいろ福祉の現場では、やはり現場でのいろいろなそうした基準に応じた区分けというところで、非常に難しいところがあるのかなと思います。一方で、我々公務員として公平性を担保しなければならないので、そういったところはふだんからしっかりと勉強しながら、判断を間違えないような形で取り組んでいるところでございます。
以上でございます。
◯15番(石井れいこさん)
ありがとうございます。この問題は、視覚障がいのある方が自営業していて、自分でできないことはガイドヘルパーに頼みたい、しかし経済活動といって仕事に関わることをガイドヘルパーには頼んではいけない決まりになっているために、ガイドヘルパーを利用できないで苦しんでいるんです。そのため、ボランティアを探さなくてはならないんですけど、ボランティアがいない場合は自分で働くことを諦めるしかない状況です。しかし、国はそのために支援事業をつくりましたが、三鷹市は導入が難しいということなんですよね。対象となる人数がいるんですけど──1人当たりの利用時間、1人当たりの料金、どのくらいになりそうですかね。
◯健康福祉部長・新型コロナウイルスワクチン接種実施本部事務局長(小嶋義晃さん) 重度障害者等就労支援特別事業、先ほど対象となる方が最大106人とお話ししましたけれども、なかなかその方の事例によって、やはり利用時間というのはなかなか今、試算するのは難しいかなと思っています。ただ、導入するに当たりましては、他の制度と同様、一定の基準を設ける必要あるかなというふうに考えているところでございます。
◯15番(石井れいこさん)
分かりました。今、希望されている方は何人か把握されていますか、この制度を。
◯健康福祉部長・新型コロナウイルスワクチン接種実施本部事務局長(小嶋義晃さん) 今、市のほうで御要望をお聞きしているのは2件でございます。
◯15番(石井れいこさん)
2件だとしても、導入が難しそうな感じなんですかね、その2件に対して。
◯健康福祉部長・新型コロナウイルスワクチン接種実施本部事務局長(小嶋義晃さん) 今、私どもが直接御要望をお伺いしているのは2件です。ただ一方で、対象者が106人いらっしゃるという数字もございます。そうした中で、やはり先ほども答弁の中でお話ししましたけれども、このサービスをしていただく事業者さんが限られていますので、その事業者さんも、ほかのサービスをされている。この事業を行うことによって、ほかのサービスに影響が出ないとも限らないという点で、現在、人材確保の状況も含めて確認した上で、検討させていただいているという状況でございます。
◯15番(石井れいこさん)
ありがとうございます。同行援護の利用時間は別枠ですよね。市が時間を決められるとすれば、例えば1時間程度からとか、そういうふうに短い時間でも導入していただけると助かると思うんですけど、それは検討なさっていますでしょうか。
◯健康福祉部長・新型コロナウイルスワクチン接種実施本部事務局長(小嶋義晃さん) 利用されたい時間というのは、それぞれ御利用者さんによって異なるのかなと思います。やはり短い時間でもという方もいらっしゃるかと思いますけれども、市として導入するに当たりましては、やはり一定程度の時間を確保したいという気持ちもございます。そうした中で、時間数も含めて少し検討させていただきたいというところでございます。
◯15番(石井れいこさん)
ありがとうございます。人手不足というふうに前の答弁からもあったんですけど、働ける状態であるのに働けない、制度があるにもかかわらず導入していないという社会的バリア、制度のバリアが生じているんです。障害者権利条約の観点から、障がいのある人が求めているにもかかわらず、障がいのない人と同じように働けるようにしない、合理的配慮を拒否することは、自治体からの差別だと思われますが、いかがでしょうか。
◯健康福祉部長・新型コロナウイルスワクチン接種実施本部事務局長(小嶋義晃さん) 私どもも、全く同じ理念で仕事に取り組んでいるつもりでございます。そうした中で、人材の確保、財政的な裏づけ等、公平性や持続性も含めて、市としてしっかり検討させていただきたいというところでございます。
◯15番(石井れいこさん)
なぜガイドヘルパーの成り手がいないのか、どうそれを分析していらっしゃいますでしょうか。
◯健康福祉部長・新型コロナウイルスワクチン接種実施本部事務局長(小嶋義晃さん) ガイドヘルパーに限らず、人材確保というのは障がいのサービス全体部分、障がいに限らず介護の部分、その他の部分で人材が不足しているというのは、私ども、そういう形で認識しているところでございます。先ほどほかの議員さんへの答弁でお答えしましたが、やはり私どもとしては、そういった方にやっていただけるような裾野を広げていきたいと考えています。そうした裾野を広げる取組としまして、やはり先ほどもお答えしましたが、日常的な交流が一番不可欠ではないかなと思っています。同じ地域にあなたの助けを必要としている方がいるんだということを皆さんに分かっていただけるような交流の機会をつくることによって、そうした形で就労等、関わっていただける方も増えてくると思いますし、そうした方が社会のバリアを低くしていくことになると考えているところでございます。
以上でございます。
◯15番(石井れいこさん)
ありがとうございます。私はこれ、緊急事態だと思っておりまして、緊急を要するのに──ほかに働ける方はいないのでしょうか。
◯健康福祉部長・新型コロナウイルスワクチン接種実施本部事務局長(小嶋義晃さん) やはり就労につきましては、私どもも仕事をするということは非常に尊いことだというふうに認識しています。そうした中で、市として福祉関係でもいろんな課題がある中で、先ほど市長も答弁していましたけど、一歩一歩少しずつでも前に進んでいきたいという考えで取り組んでいるところでございます。
以上でございます。
◯15番(石井れいこさん)
そもそもこの緊急性が市のほうで理解されてないから、人手不足で困ったなとなって放置しているように受け取られてしまいます。障がいのある方を理解されるために、ガイドを利用されている現場は御覧になられていますでしょうか。
◯健康福祉部長・新型コロナウイルスワクチン接種実施本部事務局長(小嶋義晃さん) やはり、私自身は現場を確認するということはしていませんけれども、ケースワーカー等が確認しているはずでございます。
以上でございます。
◯15番(石井れいこさん)
現場を実際に見たり一緒に過ごしてみないと──手伝ったりとか、こちらからの歩み寄りがなければそれは理解できないと思うんですけど、そもそも日本が締結した国連の障害者権利条約は、憲法の下位にある、法律の上位に位置する条約です。この条約が言っていることは、障がいは本人が好き勝手になったのではなくて、法律や制度によって障がいが生まれてしまっていると言っているわけです。制度のバリアフリーができず、人材不足と社会にバリアがあるとお答えになっているんですけど、これを解消するために、理解をするために、市長自ら現場を見たり、例えば市の職員に研修として現場を知ってもらうという取組はいかがでしょうか。
◯市長(河村 孝さん) 今、障がい者の問題にターゲットが当たっていますので、それが中心だと思いますけれども、緊急事態というふうにおっしゃいましたが、それぞれ高齢者の方も、貧困で苦しんでいる方も、若い人も、緊急事態がいっぱいあるんですよ、御存じだと思いますけどね。それに対して制度的に基礎自治体が全部賄えるかというと、現実的にそれは難しい。ですから、ボランティアの人も含めて、地域で今、様々な具体的なそういう人たちを養成しているわけでありますし、また雇用という形でヘルパーさんもいろいろな形でやっていますけれども、それぞれみんな人材が不足しているんですよ。そういう状況の中で、だから答弁の中でも何回か出てきたと思いますけれども、一歩一歩進むしかない。それが現実です。
ですから、ユネスコがどんなすばらしい理念を言おうが、憲法でそういうことを掲げていようが、なかなか現実との間にはギャップがあって、それを我々が一つ一つ解決に向けてやっている。それは市民の皆さんも御一緒になってやっていただきながらやっているのが現実でありますから、お気持ちはすごくよく、分からないでもないんですけれども、その一つ一つ解決に向かってやっていることの重要性もぜひ理解していただきたいと思いますし、実際にやる人が、ヘルパーさん、あるいはガイドボランティアみたいなことを、ガイドヘルパーさんを養成もしなければいけないし、養成するためにはそこに人が集まってこなければいけませんから、その上でそれを雇用することも含めて、具体的な解決に向けて動き出すという形になるわけです。その一つ一つをぜひ御理解いただきたいというふうに思います。
◯15番(石井れいこさん)
ありがとうございました。条約が差別といっているので、市としては何としても動かなきゃいけないことなんだろうなと思ったんです。誰もが働くことによって利益を得て、税収だってアップします。そして障がいのある方のやりがいも生まれる、その支援制度を導入しないのは、障がい者に働くなと言っているように感じさせてしまいます。行政側からの差別のような状態をなくし、今すぐ予算に組み込んでいただき、来年からの実施を強く要望いたします。
次に、フルインクルーシブ、インクルーシブ教育のことについて言います。2022年9月9日、国連の障害者権利委員会から日本に対し、特別支援教育の廃止、普通学校における障がい児の入学拒否の禁止、障がいのある子とない子を分けて教育しないことを求める勧告が出されました。権利条約では、障がい者が差別されない権利として、分離されない権利、必要な支援を受けられる合理的配慮を受ける権利があると言っています。
私は、なぜこのインクルーシブ教育を進めたいかというと、とある大学生たちに、こう言われたことがあります。
70歳以上は生きていても意味がないから、全員殺したほうがいいと。ほかにも、神奈川県相模原市の障がい者施設に元職員の男性が侵入して45人を殺傷した津久井やまゆり園の事件がありました。この元職員が言っていたことは、障がい者は人間ではなく動物であり、重複障がい者は安楽死すべき、障がい者は不幸をつくることしかできず、合理的に不必要といった内容で、生産性で人を測っているのです。これは障がいのある者とない者とで分けられた教育ゆえだと感じております。現在は不登校の子どもが全国小・中学校で20万人いることなどを踏まえると、障がいのない子どもにとっても通いづらい場所になってしまっており、強者が勝ち抜く能力主義下の社会では、弱者の憎悪の矛先がさらに弱い人に向かってしまいます。
この私の出会った学生ややまゆり園の元職員の主張は、ナチスドイツがかつて掲げた優生思想なのです。障がいの有無や人種などを基準に人に優劣をつけるこの思想は、生産性や効率性がなければ生きる価値がないという考えに結びつきます。その思想は、障がい者や高齢者、経済的困窮状態にある人にも適用されます。ですから、分離教育は、分断した社会を生み出す可能性が十分にあるから危険を感じているんです。現状、三鷹市は交流させていますとか、障がいのある子もない子も支援するためのプランといいつつも、特別支援学校、支援学級、普通学級に子どもたちを分離した中での交流なわけです。そもそもなぜ、全ての子どもたちを一緒にごちゃ混ぜにして教育をしないのでしょうか。
◯教育長(貝ノ瀬滋さん) 分離教育というふうにおっしゃっていますけれども、日本国中、多分分離とか差別とかじゃなくて区別して、交流を基本としながら教育を行っているというのが現状です。これは先進的な国であるスウェーデンも同じです。私も混合教育のメッカだというんで見に行きました、自費でね。混合教育というんですけど、同じ敷地の中に、教育支援の学級の子どもと、それから通常の学級の子どもと──隣接していますけどね、そうやっていて、ただ日本よりも交流の時間は長いかな、コマがね。そういう意味では、非常に頻繁に交流していますけれども、一定程度やはり分かれてという。でも、それは固定しているということになりますと、おっしゃるような分断とか差別とかということになるわけで、それはやっぱりフレキシブルにね、時には状況が変わってくればクラスも変わるとかというふうに、弾力的に教育を行っていく。ですから、議員がおっしゃるのはフルのインクルーシブと、それから通常のインクルーシブと分けてお使いになっていますけど、やはりフルは目指さなきゃいけないんですけれども、なかなか今すぐにというわけにはいかないと思いますけど、結局それはそのようにされているのは、やはり指導の問題もあるんですよね。
結局、先ほど課題に挙げましたけれども、1つのクラスの中に一緒に多様な子がいるとなると、多様な子に全部、例えば1人なり2人の先生が対応するという。でも、実際にこれ、想像していただくと分かりますけど大変なことですよね。ある子は算数はどんどん5年生ぐらいの能力があっても、国語は1年生ぐらいの能力だとか、いろんな子がいたときに、多動の子もいたりとかね。そのときに1人、2人の先生が個別に対応しながら、なおかつそれぞれの個性、特性を伸ばしていくとなると容易なことじゃないですよね。ですから、そういう意味では、やはり基本的には人数を減らしていくとか、それから先生を増やすとかというような、抜本的なそういう対応も一緒に考えながら、教育の質を考えていかなきゃいけないわけで、そういう意味では、教員の定数の問題は東京都や国の問題ですから、そちらのほうに、私だけじゃなくて教育長会としてね、これは毎年ですけれども、増員と、それからやはり教育支援員の充実を、もう口を酸っぱいぐらいに毎年のように要望しているというのが現状です。
ですから、決してフルのインクルーシブを諦めているわけじゃありませんが、なかなか簡単にはいかない、一筋縄ではいかないので、市長も申し上げましたけど、一歩一歩前進するように努力していきたいというふうなことはしっかりと申し上げたいと思いますので、御理解いただきたいと思います。
◯15番(石井れいこさん)
ありがとうございます。学級の人数を少なくするというのはすごい希望なんですけど、例えば国からお金が下りてこないということであって、少なくして新たに市費で先生を雇うことはできるんですよね。
◯教育長(貝ノ瀬滋さん) 理論的にはできますが、なかなかそれは大変なことですね。お一人採用するというのは大変な──一生雇用するということですからね。ですから、それは簡単な話じゃなくて、むしろそれは約束でもって、国や東京都が責任を持ってやることなんです。例えば、御質問にもありましたけれども、インクルーシブ教育システムの推進事業を国のほうでやっておりますけれども、これは我が市のように不交付団体には金が出ないんですよ。だから、そういうふうなこともやっぱり直してもらわなきゃ困るし、それから介助員等の補助についてもシステムはできていますけど、不交付団体のところには出さないんですよ。だから、そういう不公平な対応がやっぱりあるので、やっぱりそれを市でもって自分のところで賄えというのは、これは理不尽な話でしょう。だから、仮にできたとしても、やっぱりそれは国のほうでは──都にちゃんとしっかりと要望していかなきゃいけないというのが筋だと思うんです。ですから、そういう点も御理解いただきたいと思います。
◯15番(石井れいこさん)
分かりました。それでも箱物のほうはやったりしていると思うんで、財政的には持っていけると思っているんですよ。
あとは、例えば歩き回ったり騒いだり、自閉症の子とか、就学相談のときにどう判断をされているんでしょうか。
◯教育部調整担当部長(松永 透さん) 再質問にお答えいたします。
様々子どもたちの状況というのは、いろいろあります。子どもたちの行動の部分を観察をしたりする中でも、ふだんと違う人たちが大勢見ている中での子どもの反応というのは違ったりするということもあります。そういった意味では、特別な場所だけではなくて、子どもたちのふだん過ごしている場所での観察等も含めたところで、子どもたちの状況というのは確認をさせていただきながら、保護者、それから専門家とも相談をしながら進めているところでございます。
◯15番(石井れいこさん)
ありがとうございます。何か話を聞いていると、多分学習指導要領が最重要になっているのかなと思うんですけど、そのために静かに授業に参加できない子とかを排除して、子どもたちの心が置いてきぼりになったり、そうやって優生思想が生まれていくんじゃないのかなと思うんですけど。みんなの学習、到達しなきゃいけないというそういうところだけに先生が追われているような、あと人数が足りないということを言い訳にして、本当に、さっき教育長がおっしゃったように、ごちゃ混ぜでペースがうまくいかないことが学習だと思うんですよ。今、社会に出ていろんな人と当たるわけじゃないですか、出会うわけじゃないですか。そこで初めてどうしようってなるんじゃなくて、小学校のときにそういうのにぶち当たっていくことが学びだと思うんですけど、どうでしょうか。
◯教育長(貝ノ瀬滋さん) そのとおりですけれども、ただ国のほうとしては、学習指導要領という形で、これは最低基準というふうな言い方をしていますけど、一定の基準を設けている。でも、学校、子どもによって、それは弾力的に対応していくというのは今の教育ですから、優生思想の温床みたいな、そういうことはちょっと言い過ぎだと思いますね。もしそんなことがあるなら、私なんかは猛烈にそれは反対しますけれども。ただ、そういうふうなことではなくて、やっぱり一部誤解があって、一定の到達目標に達しなければ駄目みたいな、そういう誤った新自由主義的な、競争原理に基づいたような、そういう発想で教育をどんどん進めるというのは、私に言わせればやはり間違っていると思いますね。やっぱり弾力的に、それこそインクルーシブの思想とかダイバーシティーの思想とか、そういうものをやはりきちんと理解した上で、まさに民主的なそういう本当に一人一人を大事にした教育が進められていくということが理想だと思います。それに向かって努力したいというふうに思います。
◯15番(石井れいこさん)
ありがとうございます。
では、エレベーターの話なんですけど、中学校と合わせて6校だけなんですけど、それは何で全部に取り付けないんでしょうか。
◯教育委員会事務局教育部長(伊藤幸寛さん) 学校施設のバリアフリー化に向けましては、全校にエレベーターがあるのが理想だ、その思いは一緒だと思います。一方で、今、エレベーター自体は今の構造上は、大体新しくするとエレベーター棟をつけなければいけない、経費もかかります。また、既存不適格といいますけど、建物が建ったその後に建築基準法が変わると不適合になるんです。まずはそこの調査を今年度しっかりやって、その後、じゃあどのように解消していけばいいのか。遡及適用されると、かなりほかのところも直すことになるので、まず各校がどのくらい経費がかかる、そうしたことを考えながら、新都市再生ビジョンの中でもスケジュールがありますので、そうしたところと整合を図りながら、また財政状況を見ながらしっかり検討していきたいと思います。
◯15番(石井れいこさん)
ありがとうございます。国連の一般的意見4号に、生徒は自宅から離れた学校に行かされるべきではないと記載があります。今、車椅子の子たち、バスで通っているとは思うんですけど、やっぱり自分の住む近所の学校に友達がつくれないとか、友達と離れ離れになってしまうということがあると思うので、例えば椅子式階段昇降機といったものの導入は、検討はないのでしょうか。
◯教育部調整担当部長(松永 透さん) 実際に必要が生じて、つけられるかどうかといったことを確認をしたりということで、メーカーさんともいろいろやり取りさせてもらったんですけれども、安全性が確保できるかどうかといったところについていうと、前回調べたときには難しかったといったことで、実際に調査等をしながら、利便性、できるだけ向上できるようにということでは、教育委員会としても対応しているところでございます。
◯15番(石井れいこさん)
御家庭でもつけられるようなものもあると思うんですけど、介助員が1人ついてやるということは可能だと思うんですけど、難しいんですかね。
◯教育部調整担当部長(松永 透さん) 構造上の問題とか、あと学校って割と直しようがないようなもともとの形になっていたりするところがあって、つけることができないだろうといったことでの、また子どもさんの特性もあるんで、そこで動いてしまうとかということがあるとなかなか危険だということがあって、前回については諦めました。
◯15番(石井れいこさん)
障がいのない子から障がいのある子との触れ合いの機会を奪っていると私は思っているので、配慮するとか思いやるとか、そういった心を育てるチャンスを奪っていると思うので、何とか対応してもらいたいなと思うんですよ。
国立市は、フルインクルーシブ教育にかじを切りました。東京大学の大学院の教育学研究科は、国立市教育委員会とフルインクルーシブ教育の実現に関する連携協定を締結しました。三鷹市の教育委員会も、東京大学との連携を検討されていますでしょうか。
◯教育部調整担当部長(松永 透さん) 国立市の事例については存じ上げております。ただ、現在のところ、三鷹市教育委員会で東京大学との連携については検討はしておりません。
◯15番(石井れいこさん)
連携されないのであれば、どうにか階段の昇降機の設置、教員を市費で増員し、障がいのある子のいるクラスは20人学級にして、障がいのある子に普通学級への通学を勧めることを求めます。それにはやっぱり資金の調達とか、運営とか計画、フォーメーションの再検討と、教育制度の徹底的な変革が必要になってくると思うので、再開発より、どうか人にお金を費やしてください。
コミュニティの多世代交流のほうですが、小金井市にある地域の寄り合い所「また明日」というところがあって、多世代、いろんな交流ができるんですよね。交流しているよといっても障がい者だけとか、高齢者だけとか、子どもだけというふうに集められがちなんで、ここの多世代の交流が大事。ここでようやく、さっき言った介護の人の不足というのも身近に感じ取れることができると思うんで、そういうのを、学校を開放してたまにお弁当を無料で提供したりとかして集まってもらって交流するというのがいいなと思ったので提案しました。
ありがとうございます。